第3便 昭和16年10月15日 於斉斉哈爾(チチハル) [戦地からの手紙]
拝啓永らく御無沙汰致しました。
秋も愈々酣[たけなわ]となりましたが、其の後御元気で御執鞭の事と存じます。内地ではもう全山紅葉の灯火親しむ■候ですね。茸狩りに紅葉狩りにハイカーは忙しい■■峯ちゃんも相当忙しい事でせうね。当地では愈々冬に向った感あります。十一日には初雪を見ました。サワと吹き来る吹雪に大草原も銀世界に化して了[しま]ひます。未だ残雪が木蔭にあり、吹き来る風も肌をさします。顔に当る粉雪も針を含んで居りますよ。小亀君とも隊が変わり別れて了ひました。向寒の折、御自重なさいませ。失礼。
返事頼みますよ。さいなら。
十月十五日
※[ ]内には、原文にはないが、難解な読みを記した
2011-06-21 12:00
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